はいず 5 えらんど日記とTRPGとWCCFに三国志大戦のブログ
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N◎VAのはしりがき その10
空邪の一日は、早い。
朝日が昇るころには、眼を覚ます。 寝るところは、日によって違う。 廃ビルの屋上で大の字で寝ることもあれば路地の奥で猫のように丸まって寝ているときもある。 義兄や義姉に会いたくなれば千早アーコロージーに行きそのまま義兄や義姉の家で寝ていくときもある。 特にどこかに定住するという意識がない。 食べ物(といっても主に残飯だが)が手に入りやすい(奪いやすいともいえるだろう)というだけでスラム街にいるがもっと住みやすい所が見つかればそこに住処を変えるだろう。 といっても今のところ、空邪にとってスラム街が一番、住みやすいところである。 今日の空邪は、廃材が積み上げられた中で眠っていた。 廃材の間から光が差し込んだのを感じると眼を覚ました。 ちょうど廃材が組み合わさり人が中でうずくまれるくらいのスペースで胎児のように丸まって眠っていたのだ。 眼を覚ますと廃材の中を器用に這い回り外にでた。 そこで両腕を天に突き上げ大きく伸びをする。 あのような場所でもぐっすりと眠っていたのだ。 「めし、何にするかな」 そう言うと猿が歩くように両手を地に付けて歩き出す。 その動きにぎこちなさはまったくなく自然な歩みだ。 「ん~。あそこにするか」 脳裏に閃いた腹ごしらえできる場所に向かう。 通りにでると人とすれ違うが四足で歩く空邪を奇異の眼で見る人はいない。 そんな余裕を持ち合わせるほどここは豊かではないのだ。 このスラム街は、誰もが生きるためにギリギリの毎日を過ごしている。 足を踏み外せばそこに待っているのは一巻の終わり。 空邪は、バーの裏に回りそこに置いてあるゴミ箱を開ける。 ごそごそとゴミ箱を漁り食べられそうなものを探し出す。 誰かが漁ったのかめぼしいものが見当たらない。 だがそれでも空邪は、いくらかの収穫を得た。 残されたフライドチキンの骨がそれだった。 常人なら見向きもしないものだが空邪は、うれしそうにそれを手に取った。 そしてあーんと大きな口をあけるとバリバリと噛み砕いていった。 空邪には、特に好き嫌いがない。 生きるためなら食べられそうなものは何でも食べる。 生きるためなら泥水すら飲む。 生きる、生き抜くという強さがかつて空邪に千早の苗字を与えられた理由だ。 空腹を満たし空邪は、再びスラム街を歩く。 目的は、特にない。 ぶらぶらと歩くだけだ。 人間というよりは、獣の生活に近い。 食うものさえ手に入れば後は、自由なのだ。 ぶらぶらとただただ歩く。 ふっと空邪が足を止めた。 犬のお座りのような体勢になると天を仰ぐ。 眼を閉じ鼻をひくひくと動かす。 周囲の音に耳をすます。 空邪は、人を見る時に視覚だけに頼らない。 特に親しい人間については、顔や声以外に匂いや足音のリズムまで覚えている。 足音のリズムが、匂いが、ある人間が近くにいるということを教えてくれた。 「ねーちゃん?ねーちゃん!」 空邪は、獲物に追いかける猛虎のように走り出した。 スポンサーサイト
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